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「小説」
チェルノボグセカンドシーズン

エピソード:ドルマゾールの赤い夢

 ←エピソード:純黒の染料を求めて(後) →テキストレボリューション!
◆登場人物紹介


◆キスティ/自警団員/虫種・半蟷螂/32歳
【外見】黒い短髪の頭には蟷螂の複眼が備わっている。肩と太腿から先は蟷螂らしい形になっている。特に手首からは巨大な鎌が生える。背中から局部にかけても硬質な鎧のようなもので隠されている。
【人物】非常に寡黙。真面目な性格でもあり、水晶砂漠の見回りという不毛な任務を淡々と日々こなしている。夜の関係を抜きにすると人付き合いが少ない。ある事件で親密になったクスフィスに密かな好意を持っている。


◆フィトリア/酋長(王を兼ねる)/龍種・黒龍/178歳
【外見】黒髪に同色の角が生えた頭部を持つ。首の後ろに襞襟のような呼吸器官がある。手足は肘と膝からドラゴンのものに変じており、翼も併せ持つ。龍の部分は総て黒く、肌は褐色。
【人物】酋長として誇り高く尊大な人物だが、傲慢ではなく話の分かる、民に親しむよい酋長。ある住民に思いを寄せている。実は秘密にしている性癖が……!?


◆レキカ/宝紬(宝石細工職人)の賢者/植物種・竹人間/1XXX歳
【外見】拒食症の末期症状を呈しているとしか思えない細身。髪の毛はベージュで、先端に行くにつれて笹の葉に変じる。耳は所謂エルフ耳。細い指は常人よりも関節が二つ多い。落ち着いた美貌を持つが、常に渋面を作っている所為で台無し。
【人物】チェルノボグ一番の偏屈もの。宝石細工をしていればそれだけで人生が満ち足りるという根っからの職人気質。ほとんどの住民相手に偏屈老人として見られており、実際そのように振る舞っているが、マロカだけは孫のようにかわいがっている。


◆ラブラ/墓守の賢者/爬虫種・紫コブラのラミア/248歳
【外見】基本的にはラミアなのだが、金色の瞳を除いた全身が紫色をしている。コブラのラミアであるので頭の後ろにコブラの鱗がある。上半身にも同色の鱗が存在し、局部を守っている。
【人物】この集落最大の享楽主義者。賢者の末席に名を連ねているのが信じられないほど淫乱かつ能天気な人物。相手を丸呑みにするという性交の作法と死を扱う墓守の仕事をしている為に住民からは怖れられている。


◆ザントレム/宝紬見習い/精霊種・砂精/54歳
【外見】サンドゴーレムであるので不定形な筈だが、彼女の場合みた感じは中性的な麗人の風貌を常に保っている。金砂で出来ているので全身が金色に近いが。瞳は宝石で出来ている為他の部位とは色合いが異なる。
【人物】レキカの弟子。チェルノボグ一爽やかな奴。普段は賢者見習いとしてそれなりの態度を保っているが、親しいものの前では砕けた様子を見せる剽軽もの。師匠の無茶ぶりに頭を悩ませる毎日。




 水晶砂漠に、風が吹く。
 少し前のことである。自警団員のキスティは妙な石を拾った。その正体を知る為に古道具屋クスフィスと一緒にあちこち回った結果、それが『亡骸の涙』という一種の宝石であると知った。
 亡骸の涙というのは墓場にいる死者が自分に縁のある生者に送るもので、死者が生者に残した未練が解決されることで石から一粒の真珠に変じるものである。キスティのそれは青真珠だった。この真珠を一生涯使えるだけの宝物に変えることも宝紬の役目であると、宝紬の賢者レキカは言った。そして言葉通り、青真珠を一つの指輪に変えてくれたのである。真珠が傷つかぬよう、しかししっかり見えるよう、水晶を上に被せてカバーのようにしたそれはキスティの持っている中で一等の宝物だった。
 そしてもう一つ、亡骸の涙には特別な力がある。石が真珠に変わる間だけ、生者はそれを贈って来た死者と語らうことが出来るのである。キスティの場合、相手は彼女の母親だった。キスティの母親であるロトはキスティとそう変わらない、蟷螂の遺伝子を持つ女性であり、自警団の創設メンバーの一人であった人物である。ただ、彼女は庶民にしては割に知識がある方で、南方の火山遺跡にある『何か』について長年調べていた。そしてその『何か』の場所を割り出すと、一人きりで火山遺跡に入って行ってしまった。そして一週間も帰らなかったのだ。キスティの陳情により、酋長フィトリアは人員を募って捜索に向かった。見つかったのは全身穴だらけになって惨死したロトの亡骸であった。これはキスティのみならず住民総てに衝撃を与えた。ロトがいたのは地下一階である。そこで人死にが出るなら集落としては放っておけない。賢者会議が行われ、異例の『全員賛成』で決着し、火山遺跡は禁制の地となった。
 この一件以来、キスティはどこか暗鬱を胚胎していたが、亡骸の涙事件をきっかけにそれは解消された。そして語らいの最後に、ロトは言った。この涙を証にしてキスティはロトが発掘した一つのものを受け継ぐのだと。キスティは頷いた。何も遺さず死んでいった母の形見が手に入るのが嬉しかったのである。
 キスティは早速レキカに真珠を指輪にして貰い、酋長フィトリアの城へ向かった。彼女が母の遺品を預かっていたのだ。
『何用か』
 急な客人に、フィトリアは訝しげな視線を送った。
『あの、これがなんだか、お分かりになりますか?』
そう言ってキスティは真珠の指輪を差し出した。
『これは……ほう、亡骸の涙か。ロトのものか?』
 流石に酋長は博識である。亡骸の涙の真相も一発で見抜いた。
『はい。これを証に、遺品を受け取るようにと……』
『遂に来たか。よし、少し待つがいい。今に取り出して来よう』
 そう言ってキスティを応接室に立たせたまま、フィトリアは別室に入って行った。キスティは普段入らない酋長の部屋を観察していた。緊張は全然ない。何せフィトリアは毎朝火を総ての住民に与える為に顔を合わせるのだから。流石酋長の城、様々な調度品が置いてある。キスティには名前も分からないようなものも。クスフィスにでも聞けば分かるだろうか……と思って赤くなる。ついこの間、魔法の指輪に酔わされてクスフィスをレイプした記憶が蘇る。あんまり恥ずかしいので覚えていないことにしているが、その実キスティはクスフィスの体の感触まで覚えている。この恋慕は亡骸の涙を巡る一件で芽生えたものである。墓守見習いのパムヴァイマという難敵が待ち構えている危険な恋路……などと思っているとフィトリアが戻って来る。手には大きな、黒い箱を持っている。
『待たせたな。これがロトが火山遺跡から発掘した代物だ』
 そうしてフィトリアは頑丈そうなその箱を軽々と開ける。中に入っていたのは一つの戦斧であった。長い間放っておかれたのだろう、刃が所々欠けている。刃と刃の間には大きな、丸い、薄く膨らんだ装飾がついている。更に、先端近くの持ち手にボタンが幾つかある。この辺はキスティも疑問に思って、問う。
『どういうものなのですか? ただの戦斧ではありませんよね』
 キスティの声には詰問するような響きがあった。それもそうだろう。ただの斧一丁の為に母親が死んだとあっては悔やみきれない。
『うむ。この羊皮紙によるとだな、元々これは我が母アナタハンの持ち物であったようなのだ』
『アナタハン様の?』
『うむ』
 アナタハンとは先代の墓守の賢者であり、フィトリアと当代の墓守ラブラの母に当たる人物である。
『この羊皮紙に『アナタハン、記す』と書いてあるのだ』
『何を……?』
『まあ落ち着け。この戦斧はただの戦斧ではない。『邪視の戦斧・ドルマゾールの赤い夢』という。邪視というのは見たものに呪いをかける魔法だ。その力を宿し、妾の祖母ドルマゾールの代から伝わっているものだという。詳細な使い方は書かれていないな。ただ『見つけたものが探るべし』と書いてある。……すまぬな、ロクでもない母で』
『あ、いえ……それで、どうして母さんはそれを?』
 キスティの問いに、フィトリアは少し考えていた。ちょっとだけ、隠し事をすることにした。
『動機は妾も聞いておる。ロトは当時の自警団の中では最も非力な奴でな、少しでも自警団の戦力を増やそうと、この集落のあちこちに散らばっている過去に造られた武器を探していたのだ。カルジャッカが今使っている陣太刀もその一つだ。そしてロトは自分が使うのに最も適したものの所在を知った。申し訳ない話だが、教えたのは我が姉ラブラだ。火山遺跡に途轍もない秘宝があると。恐らくラブラもアナタハン様から聞いて知っていたという程度であろうが……それでロトは火山遺跡に入り……後は、知っての通りだ。真に、すまぬ』
 実の姉であるラブラがロトの一件に関わっていることを詫び、フィトリアは深く礼をした。酋長にそんなことをされると思わなかったキスティは『いえ、母さんも危険は承知だったと思います』と言ってフィトリアに頭を上げさせた。酋長の顔は何か深刻そうに見えたが、キスティはそれ以上に戦斧が気になった。
『この戦斧は、私が持っていてもいいのですか』
『構わぬ。親の遺産を相続するのは子の務めだ』
『けど、元がアナタハン様のものならフィトリア様かラブラ様が持つべきでは……』
『何、妾もラブラも武器などいらぬほどには強いのだ。気にせず受け取れ。妾が許すのだ。誰にも文句は言わせぬ』
 強い調子でいう酋長の言葉に、キスティは戦斧を持ち上げて、一つ頷く。
『分かりました。では、ありがたく相続いたします』
『うむ。壮健でな』
 こうしてキスティはフィトリアの居城を辞した。




 そして今。キスティは傷んでいた為に倉庫に入れていた邪視の戦斧・ドルマゾールの赤い夢を取り出すべく北に向かっていた。いよいよあの戦斧を使う時が来たのだという確信がある。それはつい最近、本屋マロカとクスフィスが集落の若いものを集めて行おうとしている美術館遺跡開錠である。中に封印されているネクロマンサー、スプル・オーウィルの釈放も兼ねる。
 話に聞くスプルの人物像はなかなかに凶悪なものらしかった。それと立ち会うのであれば自分も相応の準備をせねばなるまいというのがキスティの考えであった。彼女と、もう一人自警団の後輩ガザニカも立ち会う。またスプルの魔法に備えて酒場の九尾クジャも来るという。キスティも入れて、この三人がスプルともめ事になった時の防衛役である。ガザニカは自警団一頑丈な肉体を、クジャは計り知れない雷霆魔術を、それぞれに備える。そう考えるとキスティはなんの取り柄もない。
 そこでキスティは邪視の戦斧を持ち出すことにした。自分の倉庫の一番奥から刃が欠け、所々錆びている戦斧を取り出して外に出る。倉庫番のネムコはそれが珍しかったのだろう。非常にぼんやりとした驚愕を顔に浮かべてキスティを見送った。
 ドルマゾールの赤い夢を使おうと思えば手直しはどうしたって必要である。こんな襤褸い状態ではとても使えたものではない。しかし、直すのには一つ問題がある。鍛冶の技術を持つのは宝紬の賢者だけであるが、当代のレキカはあんまり人のいうことを聞いてくれない。大体の場合において自分の造りたいものばっかり造るし、武器造りなどここ数百年ロクにやってもいないらしい。偏屈な宝紬の賢者をどう動かそうかと思っていると、丁度酋長の城の辺りまで来ていた。
『フィトリア様に相談しよう』
 そう思ってキスティは黄金の階段ピラミッドに足を踏み入れたのである。
 応接室のドアノッカーを無視して扉を叩く。無反応。もう一度鳴らす。奥の方から「暫し待て」という声が聞こえる。キスティは「はい」と答えて返事を待つ。やがて「入れ」という声が聞こえた。キスティは「失礼します」と中に入る。
「今日はどうした? うむ? まさか邪視の戦斧を使うのか」
 慧眼を持つ酋長は目聡くキスティの持っている箱が以前自分が彼女に渡したものだと判断した。
「はい。美術館遺跡開錠立会人の面子はご存知ですよね」
「うむ。マロカ、クスフィス、リネオクン、パムヴァイマにザントレム、クジャ、それからガザニカと貴様で都合八人だろう」
「はい。私、ガザニカ、クジャさんが護衛役になるんですが、私だけ力不足だと思って、この戦斧が使えないかなと」
 それで酋長はキスティが自分を訪ねた用件を察した。
「確かに貴様だけ取り立てて長所はないな。逆に短所もない、バランスのいい戦士だとも思うが……まあ確かに備えがあれば憂いもなかろう。もう暫し待て。レキカにそれを改修するよう口添えがいるのだろう?」
「はい」
「では書状をしたためてこよう」
 言ってフィトリアは応接室を去った。応接室は毎朝火を受け取る部屋とはまた別の部屋である。そこの調度品を見るだに古道具屋をしているクスフィスのことを思い出す。少しでも彼女の役に立ちたい。風聞にはクスフィスもパムヴァイマを好いているというが、それでも自分の『好き』は変わらない。何とかして愛人にでもなれないだろうか……キスティがそんな妄想を逞しくする頃、フィトリアは戻って来た。
「どうした? 顔が赤いぞ」
「あ、いえ、なんでもありません……」
「ならよいのだが……これがレキカへの書状だ。妾の命により戦斧を改修すべしと書いてある」
「ありがとうございます。いつかお礼を……」
「構わぬ。美術館遺跡を無事に開錠し、スプル・オーウィルを上手くチェルノボグの住民に入れてくれればそれでよし」
「……出来るかどうか分かりませんけど、努めます」
「うむ。宜しい」
 そうしてキスティはフィトリアの居城を辞して東の竹林に向かった。酋長の慧眼を以ってもキスティの秘めた恋慕には気づかれなかったらしい。それもそうか、とキスティは少し落ち込んだ。第三者から見ても分からないくらいにキスティとクスフィスは付き合いが薄い。まずはそこからか……などと思う。
 思う間に東の竹林である。
 宝紬とその見習いが住む竹林の岩屋にはこの集落では非常に珍しい呼び鈴というものがある。宝紬を訪ねるものはそれを鳴らすことになっている。キスティが呼び鈴を鳴らすも、宝紬の賢者レキカが直接出て来るわけではない。あの不愛想極まる賢者は自分が客の応対をすることなど考えも及ばぬのだ。酋長が訪ねてすら見習いのザントレムに応対させるのだから最早凄いとしか言えない。
 で、キスティの呼びかけに応じてザントレムが出て来た。
「おやキスティ。珍しいね。用を聞こうか」
 自警団という貧乏組織のものが宝物を扱うレキカの元を訪れるのは珍しいことである。
「実はこの戦斧を」
 と、キスティは大きな箱を開けた。
「使えるようにしてほしいんだ。ほら、美術館遺跡開錠の時に襲われたら困るし、今の私じゃ力不足かなって思って」
「ふむ……しかしレキカ様が受けてくれるかな」
「これ、見せて来て」
 言って、キスティはフィトリアが渡した羊皮紙をザントレムに差し出した。
「これは?」
「酋長様から、レキカ様へ」
「なるほど。考えたね」
 そう笑って、ザントレムは奥に引っ込んで行った。少しするとレキカがザントレムを怒鳴りつける声が聞こえた。酋長の命には流石に従わざるを得ないだろうが、それはそれとして自分の作業を不用意に邪魔されるとレキカはキレる。多分その声だろうとキスティは察した。やがて、ザントレムが出て来る。
「いったいなあ……」
 どうもレキカに竹槍をぶっ刺されたらしい。服が破けている。砂精でなければ死んでいた所である。
「とりあえず、工房まで入っていいってことだよ。案内しよう」
 この言葉にキスティは驚いた。レキカは滅多なことでは自分の工房に人を入れないのである。
「え、いいの?」
「まあご本人がいいといってるからね」
 そして工房の中に入ると、作業をほっぽり出したレキカが煙管に火をつけている所であった。
「見せろ」
 怖気すら感じる凄まじい視線を以って、宝紬の賢者はキスティを睨めつけた。レキカの目線の方がよほど邪視である。
「こ、これです……」
 キスティは邪視の戦斧が入った箱を差し出す。レキカがそれを開くと、羊皮紙が落ちた。アナタハンが遺したものである。レキカはそれを拾い上げて読んでいたが、みるみるうちにもの凄い顔になっていた。
「キスティよ」
 そして、言う。
「は、はい……」
 おずおずと答える。
「これは天祐だろう。この仕事、引き受けた」
 キスティはほっとしたが、ザントレムの方が疑問を投げる。
「レキカ様、天祐とはどういうことです」
 答える代わりに、レキカは目の前のバルカン炉という、魔法の鍛冶炉を起動した。
「この戦斧、ドルマゾールの赤い夢を造ったのはな」
 鍛冶の準備をしつつ、言う。
「他でもないこの私だ」




 この言葉に思わずキスティとザントレムは顔を見合わせた。
「でも、この戦斧は先々代の酋長様の時代に造られたんじゃ?」
「いや、キスティ、レキカ様が宝紬を襲名されたのはドルマゾール様の時代だよ。でも、レキカ様、ただご自分で造られた斧が手元に戻って来たといって、それだけでは天祐とは呼べないでしょう」
 そんな会話を小さな背で聞きつつ、レキカはキスティに問う。
「キスティよ、貴様はこれを集落の為に使うと約束出来るな?」
 意図が分からない二人は困惑したが、やがてキスティが言う。
「はい。集落の為にしか使いません」
 それを聞いたレキカは一安心したように言う。
「そうか……ザントレムもよく見ておけ。そして聞け。私が宝紬になって間もなくの頃……先々代の酋長陛下、ドルマゾール様の御世のことだ」
 二人は黙って頷き、レキカの手先で赤熱していく戦斧を見た。
「当時私の師として宝紬を務めていたお方をボルコ様といってな。普通賢者位を譲るのは即ち譲る方が死ぬのと同義なのだが、ボルコ様は私の腕がどこまで昇るのか見てみたいと仰ってな。隠居という形をとった。私が三百三十六歳の頃のことだ。それから六十四年、ここで私とボルコ様の共同生活が続いたのだ」
 斧を鎚で打ちながら、しかしレキカの目は遠きを見ていた。
「思えばボルコ様の元で学んだ三百有余年、そして宝紬位を戴いてからの六十四年間、都合四百歳までが、私の人生で最も楽しかった時期かも知れぬ。出来の悪い弟子もいなかったしな」
 この言葉はザントレムに刺さった。もっとも、現時点で千七百四十四歳のレキカには昔から弟子入りするものが多かった。その中で考えればザントレムはかなり頑張っている方である。
「あの当時、私は鍛冶が苦手……まあ宝石細工と比較すれば苦手のうちだった。ボルコ様はそれをよく心配して下さったものよ。それでな、私の方でもボルコ様を安心させて差し上げようと、鍛冶の腕を磨こうと思ったのだ。丁度四世紀記を迎える時に、一つ大物を造ってやろうと考えた。その大物が、この邪視の戦斧なのだ。銘は当時の酋長、ドルマゾール様から頂いた」
 そしてレキカは目を閉じて大きく息を吸った。吐いた息は、溜息であった。
「しかし、どうも私のこの作は呪わしいものであった。ボルコ様は確かにこの作の価値を見極め、高く評価して下さった。それがいけなかったのだ。ボルコ様はな、ドルマゾールの赤い夢を見て、『もうボクが君に教えてやれることなどないよ』と仰った。そして、そのまま墓場に入ってしまった。だから私はこの戦斧を好きになれずにいる。千七百年余りのうちでただ一人好意を向けた相手を殺した戦斧だからな」
 さらりと凄いことを言ったレキカに、ザントレムとキスティはまたもや顔を見合わせた。殊にザントレムの方では『なるほどだからレキカ様は番いを娶ることも褥に入ることもしないのか』と納得していた。年齢の為かと思っていたが、どうやらレキカの恋慕の情は千三百年も前に消え去ったものらしい。
「爾来、鍛冶が大嫌いになった。今現在チェルノボグに鉄製品が、生活用も戦闘用もほとんど出回らんのは、こういうことがあったからだ。鍛冶はどうも、私にとっては凶事であるらしくてな。あれ以来鍛冶をしていてもロクなことにならん」
 などと言いつつ、レキカの五つの関節を持つ指は力強く斧の取っ手を握り、刃に鎚を打ち込んでいる。鍛冶が嫌いでも技巧そのものは第一級なのがレキカという人物である。
「えっと、それで、その戦斧はどう特別なんですか? 何かの魔法が籠められているから、ボルコ様も満足して逝ったのですよね?」
 ザントレムが恐る恐る問う。レキカは嘆息した。これは戦斧を見た弟子が何も気づかなかったことへの師としての嘆きである。
「何を見ていたのだ、この阿呆が」
「も、申し訳ありません……」
 このやり取りも日常である。
「まあいい。ドルマゾール様は邪視の体質を持っておってな。見た相手を動けなくするという魔法が使えたのだ。この戦斧に籠めた魔法はそれを『石の法』で再現したものだ。ボタンがついているのは貴様らも見ただろう。押すボタンによって刃と刃の間の瞳が開き、対応する邪視を発揮するように出来ている。これ一つで狙ったものを石化させることも、炎上させることも、凍らせることも、感電させることも出来るのだ。戦斧の瞳の部分に特殊な宝石を使っていてな。刃も、どうも長い年月の間にボロボロになったようだが、下手な刀より遥かによく斬れる。今に見ておれ、このドルマゾールの赤い夢を、アナタハンが持つ以前の、完全な形に戻してやろう」
 この言葉にザントレムはまたも驚いた。
「そんな魔法がかかっているとは夢にも思いませんでしたよ。それはそうと、どういう経緯でアナタハン様に?」
「知るか。ドルマゾール様に献上した筈なのがいつの間にかアナタハンの持ち物になっていた。大方ドルマゾール様があのバカに下賜されたか、ルドバーン様が下賜したのだろ」
「レキカ様もご存じないのですね」
「悪いか」
「いえ」
 などと師弟は仲良く言いあっている。それを見ながらキスティはこれを自分が上手く扱えるのか不安になって来た。一種魔法遺産的な効力を持つ戦斧であるらしい。キスティはそういうものに免疫がない。だから問うたのだ。
「私に、使いこなせるでしょうか」
「知るか」
「れ、レキカ様……」
 あんまり無慈悲な解答を出したレキカとそれに動揺するザントレムであった。
「そもそも私はこの戦斧が起動している所を直接には見たことがないのだ。宝紬の仕事は造ることであって使うことではないからな。不安ならラブラの阿呆の所まで行け。アナタハンのバカが持っていた以上ラブラも見たことくらいはあるやも知れぬ。それにあの阿呆はこういうもので獣を狩るのが大好きな野蛮人だ。持って行って頼めば狩りの練習にくらい付き合うだろう」
 これはこれであんまり無責任な話であるのだが、キスティには他にどうする当てもないので従うことにした。それにしても宝紬の賢者と墓守のラミア一族は仲が悪い。平気な顔してレキカはラブラへの罵倒を続けながら、どうやら作業が完了したらしく、戦斧を水に浸した。
「余計なことまで喋り過ぎたな。ほれ、これで完成だ」
 言って、戦斧を水から引き揚げると、先ほどまでとはまるで違う、振れば玉散る刃が絢爛と光る、新品と言われても頷けるほどの戦斧が輝いていた。
「邪視が機能するかはここでは試せん。もしも出来なかったらまた持って来い。一先ずはラブラの阿呆に頼んで稽古をつけて貰うことだな。仲がよかろう、貴様らは」
「え、ええ……まあ、確かによく一緒に褥に入りますが……忙しいのでは?」
 たじたじになりながら答えたキスティの言に、レキカは煙管に火をつけつつ答えた。
「ふんっ、何が忙しいものか。墓守の仕事のほとんどをパムヴァイマに押し付けておるではないか。どうせドルマゾールの赤い夢も暇つぶしの玩具程度にしか思わんだろう、あのうつけは」
 確かにラブラ様はそうだろうなあ……と思うとキスティは返す言葉がない。
「ありがとうございます。ラブラ様にかけあってみます。今回の謝礼は……」
「いらぬ。一から造ったのならともかく改修程度でものを貰おうなどとけち臭いことは考えておらん」
「……ありがとうございます」
 深くお辞儀をして、キスティは戦斧を抱えてレキカの工房を辞した。背中で仲のいい師弟が話す声が聞こえる。
「ザントレムよ、今日は石の法のおさらいだ。一番最初の部分からな」
「げえっ……」
「何か不満か?」
「い、いえ、とんでもございません」
「ふんっ、ならばさっさと教本を持って来い」
 ……こんな会話を聞きながら、キスティは東の竹林にある岩屋を辞した。そして集落北東の墓碑銘殿を目指す。




 墓碑銘殿という公民館の名残自体は立ち入り自由である。もっとも、普通の住民は墓碑銘殿の中がどうなっているかなんて分からないので中に入って用のある人物を呼ばわる必要がある。
「ラブラ様―――――!!! ラブラ様――――――――――!!!!」
 キスティが大声で名前を呼び、耳を澄ますと巨大な蛇がずるずるとリノリウムの床を這って来る不気味な音が聞こえた。
「あらキスティ。この間はごちそうさま」
 現れたラブラはついこの間自分が開いた乱交パーティーのことを話題に出した。会って早々そんな話をする下品な賢者はラブラしかおるまい。
「それで、なんの用? 夜のお誘いかしら?」
「……違います……」
 まったくこの紫色の賢者と来たら年中頭に春風が吹いているのだからもの凄い。そりゃレキカから阿呆だのうつけだの言われるわけである。
「ふうん? じゃあその手に持ってるものかしら?」
 それでもラブラの金色の虹彩はしっかりキスティが持っている、戦斧を収めた箱を見抜いている。
「はい。これが……よいしょ、と。邪視の戦斧といって、邪視の魔法を対象にかけられる魔法の戦斧だと、、レキカ様に聞いたのですが、どう使えばいいか分からなくて……。ラブラ様に随行して頂いて、修行するようレキカ様に言いつけられて……」
「銘は?」
「『ドルマゾールの赤い夢』です。アナタハン様の持ち物だったと聞いたので、ラブラ様もご存知かと思ったんですけど……」
 言われてラブラはずるずると蛇行してキスティの所ににじり寄って来て、戦斧をとり上げる。
「ふうん? これがねえ……確かに昔こんな戦斧見たわあ。お母さまから見せて貰って。ドルマゾールってことは、先代か先々代の時代からあるものなの?」
 どうもラブラはあんまり詳しくこの戦斧を知らないらしい。
「ドルマゾール様の時代にレキカ様が造って、何故かアナタハン様のものになった、ということでした」
「ふうん……じゃあ、早速行きましょうか、修行」
「……いいのですか?」
「その為に来たんでしょう?」
「……お忙しくは……」
「ないわ。さ、とりあえず霊峰遺跡まで行きましょう。なんだか面白そうなことが起こる気がして来たわ」
 言いつつ既にラブラはキスティの、手首から鎌の生えた蟷螂の腕を掴んで引っ張っていく。いきなり立ち入り禁止の霊峰遺跡に行くことになるとは思ってもいなかったキスティは大いに困惑したが、ラブラはずんずん進んでいく。
 霊峰遺跡というのは基本的に墓守とその見習いしか立ち入り出来ない。だからキスティにとってそこは完全に未知の遺跡であった。それだから問うたのだ。
「あの、どんな獣を狩るんですか?」
 キスティは寒そうにしている。霊峰遺跡というのは北の六花遺跡以上に極寒の遺跡である。年中吹雪が降っているのだ。ラブラは、墓守に伝わる魔法だろう、青い明かりを掌に生み出し、「こっちよ」とキスティを誘う。キスティはこんな場所で一人になっては大変と急いでその背を追いかけた。
 ラブラが示したのは霊峰遺跡に無数に存在する洞窟の一つであった。霊峰遺跡はかつて鉱山であったので、こういう穴が無数にあるのだ。そこに入るや否や、ラブラは掌に息吹をかけて内部に明かりを灯した。
 するとどうだ、中には大量の、全幅一メートルを超える巨大蝙蝠がばたばたと翼をはためかせて二人に襲いかかって来るではないか!
「さ、キスティ。やってみなさい」
 壮絶な無茶ぶりである。
「え、えぇー……」
 と、言いつつキスティは邪視の戦斧の中央部分を蝙蝠の群れに向けて、適当にボタンを押した。すると邪視の瞳が見開かれ、紅色をしたそれは視界にある蝙蝠の群れを一瞬で焼き尽くしてしまったのだ。ボタンを離すと瞳は閉じる。まだ残っている蝙蝠がキスティに殺到して来る。
『今度は……これ!』
 さっきとは違うボタンを押して、蝙蝠の群れに視線を与える。今度は緊縛の魔法が発動したらしい。四匹もいた巨大な蝙蝠は残らず痙攣して地面に落ちた。
「斧そのものの使い方も覚えておきなさぁい。その蝙蝠にとどめをさすのよ」
 ラブラに言われて、キスティは思い切り斧を振り上げ、思い切り降ろす。蝙蝠の一匹に直撃し、一発で地面が抉れるほどの衝撃を生み出した。これにはラブラも驚いた。キスティとて自警団員の一人である。これくらいの力は揮えて当然なのだ。それでも自警団の中では一番非力だが。
 斧の使い方をなんとなく掴んだキスティは、もう一匹の蝙蝠を蹴り上げて滞空させ、今度は横から戦斧を叩きこんでそれを真っ二つにした……のだが、どうも緊縛の邪眼が切れたらしい。残り二匹の蝙蝠が再び宙に浮いた。それでもまだ邪視の後遺症があるようで、襲って来る気配はない。キスティはすぐさまさっきと同じく瞳を向けて、また別のボタンを押した。今度は冷眼であったらしい。瞬く間に二匹の蝙蝠は氷の塊に包まれた。キスティはこの機を逃さず、二匹を纏めて砕き殺してしまった。
 パチパチと、後ろから拍手が聞こえた。振り返るとラブラが喜色満面になっている。
「いいわねえ、その戦斧。普段狩らない蝙蝠相手じゃ苦戦するだろうと思ってたんだけど……どうも私の想像以上のものみたいねえ。これだけ簡単にあの群れを殺せるんだものねえ」
 ラブラの目に嗜虐的な色が灯っているのはキスティの思い違いではない。彼女は次の獲物をもっと凶悪なものにしようと目論んでいるのだ。
「私も驚きました。初めての敵をこんな簡単に殺せるなんて……」
「でしょうねえ。さあ、次に行くわよ」
「次は、なんでしょうか」
「橙毒蜥蜴」
「?」
 霊峰遺跡に生息している獣なんて墓守の一族くらいしか知らないのである。キスティは疑問符を浮かべたが、ラブラはそれを無視して先に進む。この集落唯一の山を上へ上へと登って行く。ラブラの、鱗に覆われた頑丈に過ぎる蛇の下半身は問題なく雪原を歩いて行けるが、甲殻に覆われているだけで普通の足であるキスティがそれに続くのは結構難儀なことであった。六花遺跡より更に寒い、吹雪舞い散る遺跡である。キスティは爪先がかじかんで行くのを感じた。




「この中ねぇ」
 ラブラが示したのは、やはり鉱山の名残である、明らかに人為的に造られた洞窟だった。
「す、少し待って下さい。足がかじかんで……」
 と、キスティは斧の先端を下に、杖のようにして立った。その時、不思議なことが起こった。斧の周囲に淡い、黄色い光が生じ、それがキスティの足を覆ったのである。
「これは……?」
「あら。邪視の戦斧の効果かしら?」
 その光は暖かく、ほとんど感覚もなくなっているキスティの足を瞬く間に元の通りに戻してくれた。どうもレキカはこの戦斧に相当色々な機能をつけたものらしい。足を動かしてみると、霊峰遺跡に入る以前と変わらないくらいまで治っている。
「回復の効果もあるんだ……」
「みたいねえ。さあ、いきましょお。可愛い可愛い橙毒蜥蜴が待ってるわあ」
 そう言ってラブラは先にずるずると進んで行く。その背にキスティは疑問を投げかける。
「あの、橙毒蜥蜴ってどんな蜥蜴なんですか?」
 ラブラはちらとキスティを見返り、答える。
「橙色をした毒蜥蜴よ。そうねえ、体高は大体三メートル四十センチくらいで、尻尾が長くて、まあ体長は七、八メートルはあるんじゃなぁい?」
「いえ、訊かれても……」
 どうもラブラは相当に厄介な獲物を選んだらしい。しかし勤勉なキスティはなんとか斃してみようと思った。のだが……。
「最初から邪視を使っちゃだぁめ」
 ラブラがとんでもないことを言いだした。
「え、でも……」
「まずは斧の使い方を知らなきゃねえ。危なくなったら使ってもいいわ。それよりもっと危なくなったら助けてあげるから、安心しなさぁい」
 言われてキスティは真顔になった。聞いた限りの獲物だとすれば一人で狩るのはかなり難しい。しかも毒があるのでは更にまずい。が、賢者に刃向うという選択肢を知らない朴訥な自警団員は『これも修練だ』と覚悟を決めたのである。
「ここねえ」
 言って、ラブラが示した一画には確かに巨大な、橙色の、蜥蜴が彷徨っていた。幸いにして数は一匹しかいない。群れていたら何も出来なかっただろう。
「さあ、キスティ」
「はい……!」
 腹をくくって、キスティはその一画に足を踏み入れた。
 先手必勝。キスティは斧を大きく振り上げたまま橙毒蜥蜴の背後に周り、その後頭部を狙ったのだが――既にキスティに気づいていた橙毒蜥蜴の尻尾が彼女をぶっ叩いた。咄嗟に斧でガードするも、体格差は如実に表れた。十メートルほどもキスティは吹っ飛ばされたのである。
「くっ」
 なんとか体勢を立て直すも、その時には既に橙毒蜥蜴が彼女の方に向き直っていた。そして、口から大量の液体を前方に吐く。幸い紫色のそれはキスティにぶっかからずに済んだが、狩人の嗅覚はそれが猛毒であることを即座に察した。毒への耐性が強いチェルノボグの民であっても致命傷を加えることの出来るほどの毒だろう。正面から向かうことは不可能に見えた。また下手に飛びかかって毒をかけられるのも避けねばならない。
 毒溜まりを迂回するように距離をとるが、橙毒蜥蜴もキスティを見定めてじりじりと動く。下手に飛び込めば先ほどと同じく尻尾が飛んで来るだろう。……するうち、キスティは一つの作戦を考えた。結構無茶なものであったが、邪視を試すのはこれの後と思って橙毒蜥蜴の様子を窺う。尻尾は脅威であったが、どうやら動きそのものはさほど機敏ではないらしい。突っ込んで来る気配はない。
 そこでキスティは大きく迂回してその背後をとり、橙毒蜥蜴に飛びかかった――瞬間、尻尾が振られる。それを予期出来ないキスティではない。狙い通りである。斧を重心にして空中で体勢を変える。そして剛直な尻尾を蹴り飛ばし、そのまま脳天をカチ割ろうと飛び込んだのだが――意外なことに橙毒蜥蜴は首を反らせてキスティに毒霧を吹きかけた。まともに喰らったキスティは蜥蜴の背中に落ちた。
 このままではやられる……キスティがそう思った瞬間、再び斧が光ってキスティの体を浄化した。これ幸いと背中から飛び降りると、地面は毒に塗れている。しかし斧をかざしてみると果たしてどうだ、その毒も消え去ってしまったではないか。
 なんとか持ち直したキスティであったが、どうも斧だけの力で斃すことは無理であるらしい。遠くで見ているラブラに目配せすると、一つ頷いた。
 そこでキスティは今までのどれとも違うボタンを押した。邪視の瞳は金色で、そこから無数の雷が橙毒蜥蜴に向かって降り注いだ。流石に稲妻を浴びて平気な生物はそうそういない。橙毒蜥蜴は死なないまでも、完全に動きが止まった。その瞬間、雷霆ほとばしる斧を振り上げたキスティが頭上に舞う。思い切り戦斧を叩きつけると、確かに橙毒蜥蜴は脳漿をぶちまけて絶命したのである。
「よくやったわねえ」
それを見たラブラがまたパチパチと拍手を送る。
「もう大体の仕様はつかめたんじゃなあい?」
 甘ったるい声でそういう賢者の言葉に、キスティは答えなかった。ただ自分の手に収まる戦斧を見ていた。レキカは呪いと言っていたが、先ほどの凍傷や今の毒を治したのは紛れもなく祝福だろう。宝紬の賢者というのは祝福の賢者なのだと、指にはめた青真珠の指輪を貰う時に聞いた。レキカ本人の意思は分からないが、しかし確かにこの戦斧には祝福の効果がある。そしてそれぞれのボタンを押しながらであればその効果を秘めた斬撃が打てる。そういう風に出来ているらしい。邪視で動きを止め、魔法を籠めて打ち砕く。そういうものだろうとキスティは納得した。
「まだ全部の効果は試してませんけど、大体は掴めました」
「そう。もっとそれで獣を屠る所を見たいのだけど……そうねえ、これならいけそうねえ」
 獰猛な金色の四白眼を煌めかせて、ラブラは言った。
「何が、ですか?」
 キスティは深く考えずに聞いてしまった。ラブラが怖気を感じるような不気味な笑みで答えた。
「仇討ちよ」
「仇討ち?」
「そう。ロトを殺した獣はまだ火山遺跡に生きているのよ。個体もすぐ分かる。だからどう? 行ってみなぁい?」
 この言葉にキスティは困惑した。
「確かに出来るならしたいですけど……禁制の地では?」
 そう、いくら四人の賢者の末席に名を連ねているとはいえ、政令を破る権利はラブラにない筈であった。
「大丈夫よぉ。要するに危ないから入っちゃダメなわけであって、危険がないようにすれば入っても問題ない筈よ? ねえ、フィトリア?」




 急に酋長の名を呼んだラブラにキスティは首を傾げた。だが、その次の瞬間に吃驚仰天することになる。
「ラブラ姉の考えとは大分異なるが……妾も確かにキスティが仇を討てるかは気になるな」
 そう言って入り口の方からフィトリアがやって来たのである。
「しゅ、酋長様、何故ここに?」
「何、貴様の戦斧の改修が上手く行くかどうか、水鏡の法で見ていたのだが……レキカの所を去ったと思ったらラブラ姉の所に行くのが見えてな。姉があまり無茶をしないようにと思って見に来たのだ」
 そしてフィトリアは水鏡の法という、水を用いた千里眼を携帯する為に造られた、水晶の中に魔法的処理を施された水の入る宝物を見せた。音は伝わらない魔法だが、どうやら今までの様子も総て筒抜けなようだった。
「いきなりこんな所に連れ込んでしまってすまぬな。詫びといってはなんだが、火山遺跡の問題の場所まで案内しよう」
「あら、頼めるのかしら?」
「言いだした当人が何をいう。連れて行ってやるからラブラ姉も見届けるのだ」
「……分かったわ」
「い、いいんですか?」
「……少なくとも貴様が死ぬ事態は、妾らがいる以上避けられる。それも含めて、全責任は妾が負おう。責を担うには慣れているのでな」
 この酋長の言葉に、キスティは邪視の戦斧を見て少し考えた。やがて、心を固めて、言う。
「是非、連れて行って下さい。私も仇を討ちたいと思います」
「うむ。よい目だ」
 そうして三人して外に出ると、フィトリアはその背に生えた翼を広げ、巨大化させた。こういう遺伝子の改変においてドラゴンほど巧みな種はいない。
「征くぞ」
 キスティとラブラを抱えた酋長が一言いうと、凄まじい勢いで三人は空に飛び立った。フィトリアは、二人が振り落とされぬようにだろう、やたら強く二人の体を掴んでいた。
 そして、ほんの十秒そこらで集落南端の火山遺跡の入り口である洞窟まで辿り着いてしまった。ドラゴンの力恐るべし。
「じゃあ、行きましょうか」
 着地してすぐさまラブラがいう。その後にキスティも続く。殿はフィトリアが務めた。
「まずどうでもいいの、来たわよ、キスティ」
 言ってラブラは洞窟内部からやって来る紅黒象を指し示した。どうやら助太刀は一切するつもりがないらしい。
「ふっ!」
 キスティが短く吼えて冷凍の邪眼を発動させると、完全に凍り付く所まではいかぬまでも、動きが止まるくらいには凍らせられた。
「はぁっ!」
 更にキスティが一跳躍し、今度は雷霆の邪視を発動させて巨象を殴ると、いとも簡単に獲物は砕け散って絶命した。
「うむ。確実に戦斧を操れるようになっておるな。ラブラ姉の実戦稽古のお蔭か」
「まあねえ」
「それ以上にキスティの才能だな」
「いえ、ラブラ様のお蔭です」
「まあねえ」
「褒めるなキスティ、このバカは褒めると調子に乗る」
「実の姉に向かってバカとは何よぉ」
「姉妹であっても妾は酋長でラブラは賢者だ」
 などとやり合いながら一つの姉妹は先へ先へと進んで行く。キスティも遅れぬようにその後に続く……。
「あの、酋長様、母さんを殺したのはどんな獣ですか? 今の象のような獣ですか?」
 キスティの問いにフィトリアは難しい顔をしていてが、やがて決意したように言う。
「普通の獣ではない。石獣というものを知っているか?」
「昔カルジャッカ団長に聞いたような……石造りの獣ですか?」
「うむ。少なくとも我が国の石獣は総て遺跡内部の重要なものを守る為に造られたものだ。ロトを殺したのはそのうち邪視の戦斧を守っていたものだと妾ら探索隊は突き止めた」
 この意味する所に、キスティは思い当たらなかった。ただ石獣という未知の難敵に備えるのに、その特性を聞きだすことしか頭になかったのだ。
「母さんを殺した石獣というのは?」
「個体名を『グランドスラム』という。石造りのケンタウロスとでも言えば分かりやすいか。頭は人間ではなくチェスという遊戯のルークという駒に近い。体を分断することで変則的な攻撃も出来、馬の下半身を操って直接的な攻撃も出来る難敵だ。ロトはそれに踏み殺されたのだ」
「母さんが……」
「今の貴様ならばそうなる心配もさほどないが……危なくなったら妾たちも加勢しよう。一人だけで仇を討たねばならないということはない。妾にとっても、グランドスラムは愛する住民の仇なのだからな」
 そう言いつつ、フィトリアは火山遺跡の一画までやって来た。奥の方に何かの祭壇のようなものが見える。
「ここだ。飛び出せば石獣グランドスラムが襲いかかって来るだろう。準備はいいか?」
 フィトリアの言葉に、キスティは斧になんの問題もないのを確認して、頷く。
「では、征け」




「はい!」
 フィトリアの言葉に背中を押されて、キスティは広間に飛び出した。すると、確かに祭壇の方から一匹の、石造りの獣が現れたのである。
『これがグランドスラム……』
 初めて見る石獣にキスティはどう攻めるかを決めあぐねた。しかしグランドスラムはすぐに襲って来る気配はない。これは侵入者が去るように威嚇しているのである。
 キスティはその威容に圧倒された。
 石獣グランドスラムは頭部が塔のようになっているのを除けば完全に石造りのケンタウロスであった。煉瓦を組み上げたようになっている。馬の下半身も、人間の上半身も、筋肉の多いものを再現している。目は見えなかったが、頭部に潜んでいるらしい。その体高は有にニメートルを越し、全長は三メートル以上もあるだろう。その肉体には、確かにキスティ本来の闘法である手首の鎌は通らないと見えた。
『動き出す前に、一先ず動きを封じよう』
 そう思って、キスティは遠距離から緊縛の邪視を発動させた。しかし、グランドスラムは何事もないかのように様子を見ている。どうもある程度距離を詰めねば邪視も通らぬらしい。
「ええい!」
 そう見たキスティは思い切って先へと進んだ。グランドスラムは敵対者とみなし、キスティに向かって石造りの四足を進める。重たそうな見た目に反してかなり素早い。馬と変わらぬほどである。
『ここだ!』
 しかし、単調な動きはかえってキスティにとってのいい的だった。今度こそ確実に緊縛の邪視がかかる。ピタリと動きを止めたグランドスラムの脳天に斧を振り下ろす。しかし、どういう鉱物で造られているのか、或いは魔法が働いているのか、その頭部は割れるどころかぴくりともしなかった。
 まずい、と思った時には既に手遅れ。視線がそれたことで邪視の効果が切れたグランドスラムはキスティにショルダータックルを浴びせた。鍛えているキスティだから耐えられたが、そうでなければこれだけでぺちゃんこになる威力である。倒れたキスティにグランドスラムは両前足を浮かせ、踏み潰そうと宙に飛んだ。しかし、これはかえってキスティに回避のチャンスをもたらした。落ちて来るより早くキスティは転がってその場を離れたのである。
 がごぉん、と凄い音を立ててグランドスラムは着地した。その背後からキスティは再び邪視を発動させる。今度は炎の邪視だった。石獣の全身が炎に包まれる。再び、今度は横薙ぎに斧をその上半身に向けて振るう。しかし、グランドスラムという石獣はキスティの常識の上を行った。上半身と下半身を分離させてその一撃を交わしたのである。そして勢いのまま下半身の切れ目の上に来たキスティに向けて、上半身が降下して来る。避ける間もなく、キスティは石獣の上半身と下半身の間に挟まれてしまった。
「かはっ」
 それでもなんとか食いしばり、身を翻らせて石獣の重圧から逃げる。腹部に鈍い痛みを感じるが、まだまだこれからと気を新たに敵を見据え、そのまま緊縛の邪視を発動させる。石獣の動きが止まる。少なくともこのまま邪視を向け続けていれば、倒せはしなくとも動きは封じられる。寧ろキスティは自身のダメージの回復の為にそうしたのである。
「考えたわねえ」
「うむ。邪視を向けたまま戦斧の祝福で回復……上手い使い方だが……致命打を与えるまでは出来ぬな……」
「まあ、まだ大丈夫でしょうよ。見守りましょう」
「うむ……」
 いつでも飛び出せるようにしながら、フィトリアとラブラは接戦をしっかと目に焼きつけていた。
 一方キスティの方では邪視をグランドスラムに向けたまま、その刃の部分を自分の体に引っ付けていた。回復の効果は邪視と併用出来るらしく、みるみるうちに腹部の鈍痛がなくなり、力が湧いて来る。戦況拮抗。キスティは石獣の頑丈さ故に、グランドスラムは邪視の戦斧の為に、それぞれ相手に止めを刺せない状況が続いた。するうち、キスティはまだ試していない邪視を使うという選択肢に至った。博打性は高かったが、これまでのどの邪視でも倒せそうにない以上、他に手はなかった。
 そしてキスティが放った邪視は『梟のグレー』だった。
 灰色の煙がほとばしる。それは衝撃となってグランドスラムにぶつかった。どういう邪視であるのかは分からなかったが、グランドスラムが両手を組んで防御するのを見たキスティは確かにそれがかの石獣に効いているとみた。ボタンを押しっぱなしにすると衝撃は段々グランドスラムに収斂していった。
『行ける!』
 キスティはこの勢いに乗り、斧を振り上げて石獣の頭上へと飛び上がった。グランドスラムは躱そうとしたらしいが、周囲を囲む灰煙が邪魔になって動くのもままならぬ。その脳天にキスティが斧を振り下ろすと、凄まじい衝撃がまるで隕石のようになって石獣に直撃した。
 頑丈な肉体を持つグランドスラムにしてもこの一撃に耐える術はなかった。頭部に亀裂が入ると瞬く間にそれが全身に伝播し、崩れ去り、更に風化までして、災厄の石獣は完全にこの世から消滅した。
 勢いあまって地面に落ちたキスティは何が起こったのか分からない様子だった。あの強大な敵を自分が倒したのだという実感が湧かなったのである。それを後ろから見守っていたフィトリアは石獣の気配が完全に消えたことにほっと息を吐き、ラブラはまたもやぱちぱちと拍手を送った。それでようやくキスティは立ち上がることが出来た。




「私……やれたんですか……?」
 それでもなお確信が持てない。
「うむ。妾とラブラ姉は確かに見た。貴様が石獣グランドスラムを滅する様を」
 あまりの驚きに、キスティは思わず戦斧を手からとり落としてしまった。フィトリアが歩み寄って来て、その戦斧をとる。そして真剣な表情を浮かべた。キスティにはその意味が分からないので、ただ首を傾げることしか出来なかった。
「フィトリア、貴女まさか……」
 それにラブラも寄って来て、こちらも深刻そうにフィトリアに問うた。フィトリアは目を閉じて考えているようであったが、やがて、後頚部から生えている『サラマンドラの王冠』から熱の蒸気を噴き出した。これは彼女なりの溜息である。
「そのまさかだ。そしてまさか黙っているわけにもいくまい。我らには賢者アナタハンの娘としての義務がある。よいな、ラブラ姉」
 言われたラブラはいつになくしおらしく、真剣な顔になった。やがて、覚悟を決めたように、頷く。
「そうねえ。確かに黙ってていいことじゃあないわねえ。……お願い、出来る?」
 懇願するような調子のラブラに、フィトリアは苦笑を浮かべた。だが、すぐに真顔に戻った。
「仕方のない姉だ。では妾から話すことにしよう」
 キスティは困惑したままである。それで、問う。
「あの、なんのことですか?」
 フィトリアもラブラも、深刻な表情でキスティを見る。思わずたじろぐような視線であった。
「ロトと、あの石獣グランドスラム、そして我が母アナタハンンにまつわる真実だ」
「真実……」
「うむ。先に謝っておこうか。今まで黙っていて、まことにすまぬ」
 急に謝られたキスティは慌てふためいて「そ、そんな、頭を上げて下さい」と酋長に促した。それで、というわけでもないだろうが、フィトリアは頭をあげて、言う。
「邪視の戦斧ドルマゾールの赤い夢をここに安置したのがアナタハン様だとは教えたと思うが、あの石獣グランドスラムを護り手としてここに置いたのもまた、アナタハン様なのだ」
 この言葉に、キスティはただ「アナタハン様?」と鸚鵡を返すしかなかった。
「うむ。先ほども言っただろう。この地の石獣は総て何かを護る為に存在すると」
「はい」
「では護る対象を決めるのは誰か? 石獣が自ら決めるわけではあるまいよ」
「あっ」
 それでキスティはフィトリアが言わんとすることを察した。
「アナタハン様が、邪視の戦斧をここに封印して、石獣を設置した……母さんはその石獣に殺された……ということは……」
 キスティの言葉に、フィトリアもラブラも沈痛な表情になった。そう、ロトが死んだのはある意味で二人の母アナタハンの所為であるとも言えるのだ。
「更に申し訳ない話であるのだが……アナタハン様はな、どうもこの戦斧を封印し、後の世の誰かが発掘するのを楽しみにして、そういうことをしたらしい。つまり、封印した理由はただ『面白そうだ』というだけのことなのだ……恐らくアナタハン様は、ご自分が強大な力の持ち主であった故、加減が分からなかったのだろう。邪視の戦斧を持たずには倒せない、或いは倒せるのであれば邪視の戦斧などいらぬ、それくらいに難易度の高い番人を設置されたのだ……ロトのようなか弱きものが入ることは、全然、想定されていなかったのだろう」
 これらのフィトリアの言葉に、キスティは大いに動揺した。まさかあの石獣が先代の墓守の賢者が設置した番人だとは……。やがて、驚愕は疑問に変わる。
「ラブラ様は、それを知っていて母さんに邪視の戦斧のことを教えたんですか。それじゃ、あんまりじゃないですか……」
 キスティの言葉には、怒りが滲んでいた。当たり前である。
「確かに、お母さまがここに戦斧を封印したことは知っていたわ。でも、いいわけに聞こえるでしょうけど、あれほど危険な石獣を置いていたとは思わなかったの。私は探索隊には参加しなかったけれど、後から聞いてとんでもないことをしたと思って……」
 ラブラの言葉に、キスティは俯いて何も言わない。
「ラブラ姉の言葉は事実だ。妾も石獣グランドスラムがあれほど危険なものだとは知らなかった」
「どうして……今まで黙って……?」
 この言葉にフィトリアは瞑目した。一息ついて、言う。
「母アナタハンの置き土産が住民を殺した……その事実をどうすべきであるか、妾も、ラブラ姉も、分からなかったのだ。民を思うべき酋長と賢者、その母が遺したものの為に民が死んだ……その事実をどう扱うべきか、妾らは決めかねた。いつか邪視の戦斧がキスティの手に渡り、仇を討てるようになる時が来るとは分かっていた。故に、妾たち姉妹はそれまでこのことを話さぬことにした。まず真実を知るべきはキスティ、貴様であるが、しかしロトが死んだ頃の貴様は幼すぎた。それで今日の日まで黙っていたのだ。ラブラ姉が仇討ちに誘ったのも、その時が来たと分かっていたからだろう?」
 問われたラブラは、彼女にしては珍しく、黙って頷いた。
「そして、キスティ、貴様が真実を知り、妾ら姉妹を罰したいというのであれば、妾らは喜んで従う覚悟だ。母がしたことの報いを受けるのは、娘の務めだからな」
 フィトリアの言葉に、キスティは暫く黙って考えていた。確かにこの二人に罰を科すことも出来よう。ラブラはともかくフィトリアほどの人物ならば、確かに本人の言う通り甘んじてそれを受け入れるだろう。だが、自分や、ロトよりも遥かに重たい二人の命を脅かすことは、出来ぬ。それがキスティの出した結論だった。
「フィトリア様、ラブラ様」
 二人は深刻な表情で断罪を待っている。
「今後、二度と、母さんのような人を出さないと誓ってください。それだけが、私の望みです」
「……それだけで、よいのか」
「はい。二人は、私と母さんの命を重ねても足りないくらいの役目を持っています。だから、私がどうこうすることは、出来ません。それでも、母さんのような人も、私みたいな子どもも、二度と、生み出したくはないから、それだけを約束して下さい」
 この、実につつましい断罪に、フィトリアとラブラは顔を見合わせた。代表して、フィトリアがいう。
「ああ。確かに約束しよう。二度と貴様ら母娘のようなものを出さぬと。この約束と、この戦斧と、それだけで償えるほど安いものでもないだろうが」
 フィトリアの手から邪視の戦斧を受け取り、キスティは、意外なことに、微笑んだ。
「母さんは、ラブラ様たちへの恨み言は一言もいいませんでした。つまり、そういうことでしょう」
 亡骸の涙事件を振り返って、言う。そして――。
「それに、レキカ様が思いを籠めて造り、アナタハン様がこの力を高く評価したこの戦斧には、確かに母さんの命も籠もっています。だから、それだけの価値はあるから、いいんです」
 優しく言うキスティに、フィトリアもラブラも、今後自身の務めをしっかり果たそうと誓った。
 やがては火山遺跡の危険も排除され、新たな資源地帯として使えるようになるだろう。
 そしてキスティは何人もの想いの籠もった戦斧を、想い人を守る為に振るおうと心に誓った。肉体的にも精神的にも、戦士として成長したのである。こうして、キスティは万全の状態で美術館遺跡開錠に立ち会うことが出来るようになった。
 ちなみに、今回の一件はこの後見事に大賢者アドライアにばれ、フィトリアとラブラの二人は火山遺跡に独断でキスティを入れたこと、ロトの死の真相を隠していたことなどで、凄まじく壮絶に怒られた。
 チェルノボグは今日も平和である。





【エピソード:ドルマゾールの赤い夢《了》】





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