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「小説」
風合文吾

紫色の雨――Purple Rain――

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 重苦しい蒸気が部屋に立ち込める。大方、雨の中で窓を開け放しているのが悪いんだろう。外では紫色の雨が降っている。だけど窓を閉めるつもりは毫もない。パープルヘイズに部屋を支配されてしまうから。
 外では――紫色の雨が降っているのにも気づかずに、穴を掘る人たちが働いている。雨の色はこんなにも紫色をしているのに、彼らは気づかない。庭という極小の大地から紫色の毒を取り出す為に、ショベルカーは休みもせずにヘッドバンギング。そうして、穴を埋める人たちが土を運んでいる。
 紫色の雨は止む気配もなかった。きっとそのうち、くすんでしまうだろう。雨は紫色の毒を秘めて、けれど静かに、降っている。耳を傾ければ、今まで紫色の毒にやられて死んでしまっていた人たちの声が聞こえる。なのにそれにこの家の誰も気づかない。みんなただの雨音だとしか思っていない。耳を澄ませば、絶望と怨嗟の声がさあさあと哭いているというのに。
 さあ、お前たちも絶望しろ。絶望したまま生きて行け、絶望しながら死んで行け。魂ならば雨雲に変わり、やがてお前たちも紫色の雨になってこの大地を苛む。さあ、さあ、さあ……。
 そんなことを言っている。
 窓の外をよく見る。網戸と、汚れきった窓のお蔭で視界は煙る。けれど、目を凝らせば確かに見える。雨の霞がされこうべの形に煙っているのが。大きな髑髏は段々と立ち上がり、紫色のがしゃ髑髏になってしまった。網戸を開けて、ベランダに出る。さあさあと声が聞こえる。僕を呼ぶ声が。今、この二階から落ちたとして、しかし、死ねるだろうか?
 逡巡は瞬間、紫電ががしゃ髑髏に降り注ぐ。雷。
 亡霊たちは残らず焼かれ、ごろごろと怨嗟の声を残して消えて行く。外ではそんなことにも気づかずに、グレイヴディガーが忙しく立ち働いている。僕はそれをぢっと見ていた。けれど、誰も死にそうにないので、遂に窓をくぐって部屋に腰を落ち着けた。
 さあさあという声はまだ聞こえる。
 誰も紫色の雨に気づいていない。
 ああ、死ななくてよかった――生きるって、素晴らしい。
 紫色の声が聞こえる中、そんなことを思って、レインとメタルの音を聞きながら、午睡に入る。ああ、でも、このまま二度と、目が覚めないのかも知れないな……さあさあ、さあさあ……さあ、胎児の安息に……。


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