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「小説」
千夜風灯物語

千夜風灯物語 第百五十夜 季節が君だけを変える

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もしもこの街に、世紀の大地震が、ハリケーンでもいい、来たなら、きっと硝子細工が砕け散るように、墓標を真似ているとしか思えないビルたちはみんな粉々になってしまうだろう。

と、僕が言うのを、君は微笑みながら聞いていた。

でもハリケーンの時期は過ぎ去ってしまったから、やっぱり地震なんじゃないかな。そしてこの街が滅ぶのと一緒に、一緒に消えてしまえれば、それはとても素敵なことだよ。

と、僕が言うのに、君は微笑んで頷いた。

それはほんの三か月前の記憶でしかないのに、今、君はもういない。

季節は変わらずに巡るもので、そんなものに人間の心が揺り動かされる筈がないと考えていた。愚考だった。季節は人間を変える。現に君は変わった。僕は変われずにいる。愚かなのは、僕だけで、君はどこかに、行ってしまった。

結局の処、僕はただ自分の言葉を首肯してくれる人が欲しかっただけなのだな、と、君がいなくなって一週間と三日してから気がついて、それに君は嫌気がさしたのかなと思ったのはもう手遅れの時期で、これから始まる孤独の季節に、僕は一人で怯えているよ。

いつか君に会いたいな、すれ違ってばかりだったと今なら解る、君に、今度はもっとまともな人間として、友達でも、知り合いでもいいから、また会いたいけど、君が変わってしまったことを悲しんでいる僕は、多分、季節の中に取り残されて、いつか君には、届かない。




 
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