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「小説」
千夜風灯物語

千夜風灯物語 第百四十六夜 それすらできない

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故郷に帰る為の荷物は一通りまとめ終えた。もうここには戻って来ないのだなと思うと、別段大した思い出もないこの地が、まあそれなりに惜しく思える。それくらいには、ここでも色々あったわけだ。

色々な人に出会った。色々な人と別れた。今連絡出来る人、出来ない人、その誰にも知らせず独り故郷に帰って行く私は、薄情なのだろうか。けど、別れの言葉をメールで送ったりしたら、なんだか見せつけがましいし、多分悲しみも湧いて来る。

心が壊れないように、帰るのだ。

毛細血管のように細い希望がある。酷く儚くおぼろげなそれはあの人に、故郷に住むあの人に、もう一度、また会えるんじゃないかっていう、とても寂しいものだ。もう何年会っていない? 数えるのも厭だ。けれど、故郷に帰って行けば、いつか会える気がしている。

本当は、この街で出会った多くの人をアドレス帳から消して行くように、あの人の名前さえ消してしまえばいいのだ。そうすれば、見えない糸は断ち切られて、これ以上、あの人に会う、その時を待ち続けるつらい時間を過ごさなくて済む。何度か、そうしてしまおうかと思ったこともあるけれど、無理だった。

そう、それすらできない。

何もかもを失くしてこの地を去って行く私の侘しい前途には、決して叶いそうにない恋慕の情だけが希望の御旗として翻っている。失くしてしまえば、楽なのに、やっぱり、それすらできない。





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