FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←千夜風灯物語 第百四十四夜 少女王国の崩壊 →千夜風灯物語 第百四十六夜 それすらできない
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png サークル
総もくじ  3kaku_s_L.png 小説
総もくじ  3kaku_s_L.png 徒然雑想
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
[千夜風灯物語 第百四十四夜 少女王国の崩壊]へ [千夜風灯物語 第百四十六夜 それすらできない]へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「小説」
千夜風灯物語

千夜風灯物語 第百四十五夜 逢魔刻

 ←千夜風灯物語 第百四十四夜 少女王国の崩壊 →千夜風灯物語 第百四十六夜 それすらできない




青年は思惟する。

《足が痛い。なのに夕日はあんなに赤い。まるで血のようだ。太陽が血の涙を流して、それが空という大いなる海を朱に染めている。雲も、血に抗えない》

《或いはその血は、この左脚から先日、流れ落ちていた血のなれの果てなのかも知れない》

《夕焼け空が街を影に呑み込んで行く。あんなに赤い空の下で、墓標のような建物たちは皆一様に黒く影って行く。まるで黒曜石で作った位牌のようで、ああ、人は皆、いないのだな》

《夜には気の早い光を灯すアパートの一室》

《誰もいない》

《すれ違う人たちはまるで影法師か、さもなければ、案山子のようで、ただ彼らの、彼女らの、皮膚と肉とに隠れた頭蓋骨、その白さばかりがよく見える。けれど、骸骨の白は不可思議に夕焼けの赤に染まっていない》

《きっと死んでいるからだろう》

《歩いている、この場所はもう、ゴーストタウンだ。誰も彼も生きていない。或いは僕も。けれど、僕は思惟している。生きていないのに、思惟している。それは、どうしてだろう》

《鰯雲が赤く染まりながら夕日から逃げるようにゆっくりと偏西風に乗って泳いでいる。大いなる海、大いなる空、水も空気も血に染まり、西の涯に沈みゆく大いなるものに、総てのグラデーションが収斂して行く》

《空と大地に挟まれた、生きてはいない、僕も、また》

風が吹く、そこには誰もいなかった。




 
次へ
前へ


 
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png サークル
総もくじ 3kaku_s_L.png 小説
総もくじ 3kaku_s_L.png 徒然雑想
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png サークル
総もくじ  3kaku_s_L.png 小説
総もくじ  3kaku_s_L.png 徒然雑想
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
[千夜風灯物語 第百四十四夜 少女王国の崩壊]へ [千夜風灯物語 第百四十六夜 それすらできない]へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [千夜風灯物語 第百四十四夜 少女王国の崩壊]へ
  • [千夜風灯物語 第百四十六夜 それすらできない]へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。