FC2ブログ

「小説」
奈秤大英

夢を語る

 ←グル・グル・スパングル →ママンは嗤う
終りなんてない。夢は皆が見るものだから
              作 奈秤 大英


 序幕 おはようございます

 今日は良い夢が見られたでしょうか? そのご様子だとあまり良い夢ではなかったのでしょうか? ええ、それでもお話して下さると私はうれしいです。あなたの話す夢は本当に不思議。たしかに夢は不思議なものです。それでもあなたの夢は面白いものばかり。私の心に響くものばかりです。しかもあなたは一度の眠りで複数の夢を見る。そんなあなたの話す夢の住人の息遣いが伝わって、まるですぐそばにいるかのような脈動を感じます。それはその住人が本当にこの世界に実在するのではないかと錯覚するほどでございます。初めてあなたが話してくれた、夢の中なのに眠れない男性の話。その方の苦悩と諦念はあなたが実際に体験していたことではないのかと思うほど、私にひしひしと伝わってきました。あら、そんなことはないと? それはよく分かっていますとも。そうでなければあなたはあんなにも気持ちよさそうに眠ったりはしないでしょうから。ああ、なぜ自分の寝顔なんて知っているのかとお思いですか? それを私の口から言わせるというのでしょうか。あなたも意地の悪いお人です。ふふ、冗談ですよ。話を戻しまして、確か眠れない男性は最後に快い睡眠へ誘われたのではありませんでしたか。自ら睡魔と名乗る悪魔との取引によってようやくその男性は眠ることが叶った。しかしその男性はその眠りから覚めることは決して無かった。なぜならあなたがそこで目覚めてしまったのですから。本当、不思議な話です。その夢の男性が眠ると同時にあなたが目覚めた。その夢の男性と私の目の前にいるあなた。このお二人には何も関係は無いのでしょうか? 別に脅かそうとしているわけではございませんよ。私は単にあなたの夢に興味を抱いているだけですので。この気持ちは他に何も混じりけのない、純粋なものです。殿方が淑女に心を奪われるように。淑女が無垢な子どもを慈しむように。同じようにあなたの夢の話は私の胸の琴線を奏でてしまうのです。失礼、独り語りが過ぎましたね。あなたの話は様々な色を残していかれます。喜びの黄色、怒りの赤、悲しみの青、楽しみの緑色。他の感情もこれらの色が多様に組み合わさって複雑で、またきらびやかにこの部屋を彩っていきます。もちろん私も様々な色に染まってより複雑な感情を抱きます。だからこそ面白いのです。時を無為に浪費するだけなんてもったいないですから。さて、この部屋のモノクロームな部分を染めるために今日はどんなお話をしてくれるのでしょうか? 楽しいお話でしょうか? それとも暗いお話でしょうか? それとも両方? ああ、今からどんな話をして下さるのだろうと考えるだけでも胸が躍ります。それでは紅茶でもお持ちいたしましょう。ゆっくりしながら今日も夢の話をお聞かせ願えますか?

一幕 愛、駆け抜けて

 妻から頼まれた離乳食を片手に仕事からの帰りを急いでいると、公園の方から仲睦まじい家族の声が聞こえてきた。以前の私なら何の感慨も興味も湧かず素通りしただろうが、今の妻と結婚してからというもの一家団欒という光景に共感という感覚を覚え始めた。幸福の共有と言ったところか、彼らの幸せそうな様子を見るとこちらまで嬉しくなってくるのだ。その家族を見つつ、私は私の家族について思い起こしていた。
 私と妻の関係はとても円満だ。朝方になると妻に起こされて一緒にご飯を食べ仕事に向かう。もちろん昼は妻の手作り弁当だ。仕事が終われば寄り道などせず真っ直ぐ家に帰る。たまに仕事が終わる頃を見計らって妻からメールで買い出しを頼まれることもあるが、寄り道は基本的にこれだけだ。家に戻ればまず、用意してくれているアツアツの風呂に入って一日の英気を養う。風呂から上がる頃には晩御飯も出来上がっているので妻と一緒に歓談を交えながら食事をする。休みの日には買い物をしたり、映画を見たり、ドライブを楽しんだりととても楽しく、和やかに暮らしている。私はとても幸せだ。互いに譲り合い、支えあって暮らしている。
 彼女が愛しくてたまらない。背中の真ん中まで届く長さに切りそろえられた真っ黒でストレートな髪。二重瞼でいつもとろんとしている艶やかな瞳。小ぶりの鼻とぷるっとした瑞々しい桜色の唇。見た目は少々小柄だが、成熟した女性らしさを主張する扇情的な体つき。さらに性格も穏やかで誰に対しても優しく驕ることのない謙虚な姿勢。いつも笑顔で明るいが、時折見せる憂い顔は私の心をさらっていくのに十分だった。どれを取っても彼女は私の理想と言って過言ではない。
 私にとって天使のような彼女と結婚し、私が彼女の夫となり彼女が私の妻となった瞬間の幸せはどう表現していいか分からない。それほど彼女との結婚は私にとって至福の時だった。ただそんな彼女との幸せな結婚は、彼女曰く幸せの絶頂では無いと言われてしまった。初めてこのことを聞いた時、私はひどく動揺したことを覚えている。彼女は呆然としている私を見てきょとんとしていたが、やがて状況が読み込めたらしく私に向かってにっこりと笑いこう言った。
「結婚が幸せじゃなかった訳じゃないよ。でもね、あの時の幸せが天辺なら結婚した後はどうなるの? これからは滑り落ちるだけとか思いたくないし、幸せはこれからも昇り続けるんだよ。それに天辺が一つだけとか勿体ないじゃん」
私はこの彼女の思いにとても感銘を受けた。そうだ、確かにそうなのだ。結婚した時が絶頂なら後は降っていくだけ。しかし実際はそんなはずないのだ。彼女のこの言葉で私はより一層彼女を深く愛するようになった。
 そんな彼女との出会いは他のカップルたちと比べてとても稀有なものだったと思っている。当時の私は当然ながら付き合っている女性などいなくて、ただ与えられた仕事を坦々とこなすだけの社会の畜生だった。この非常に残念で寂しい暮らしの中で唯一行っていたことが、休日近所にあったアンティークな雑貨屋に足繁く通うことだった。別にアンティーク趣味があるわけではないのだが、そのアンティークショップの雰囲気が好きだったのだ。世俗から離れ、現代では絶対に味わえない過去の古臭い匂い。色彩に乏しく、暗くセピアな印象を受ける数々の雑貨。品物一つ一つが集まって創り出す、とうに過ぎ去った時代を感じさせてくれる独特な雰囲気が私を忙しない現代から空想非日常の世界へと旅立たせてくれた。そこに行けば日々の喧騒から逃れることが出来たのだ。私と妻はこの創られた空想の中で出会ったのだ。店にやって来た彼女は初め、正直に言うと近寄りがたい雰囲気をまとっていた。息は切れ、眼を真っ赤に腫らし、睨みだけで人が竦んでしまうのではないかと思うほどの形相。彼女は肩を上下に揺らし、泣いていたのだった。彼女はずかずかと店内に入り数々のアンティークな品をなめるように見ていった。その中で彼女はある一つのすすけた陶器の人形を手に取りじっと見つめた。するといきなり腕を振り上げてその人形を地面に叩きつけたのだ。当然人形は砕け辺り一面に頭やら腕、足が飛び散った。「これじゃない、こんな子じゃない、どこ、どこにあるの」と彼女はつぶやいてその場にへたり込む。もはや錯乱状態にあるのは一目瞭然だった。先程の音で奥に引っ込んでいた店主が慌ててやって来た。その時私は咄嗟に彼女を庇った。すみません彼女とぶつかってしまって。その拍子に人形を落としてしまったようです。重ねてすみません。この人形は弁償いたしますから。そうして私は彼女を立たせ、疑念の表情で尚も睨みつけてくる店主に再度謝りながら弁償し、店から退散した。
 私は連れ出した彼女を適当な公園のベンチに座らせ、彼女をなだめ落ち着かせることに全力を注いだ。彼女が落ち着くまでの間、休日だというのに遠くから鳥の鳴き声が聞こえる程静かだったのを覚えている。彼女がずっと俯いている間私は必死に彼女に店での行為を問いただそうと努力した。初めは優しい声で。途中から少し怒気をこめて。それでも一向に反応のない彼女に私はもう無駄だと悟り彼女から離れようと身を翻しそのまま帰路についた。しかしその道中、私はずっと彼女のことが気にかかっていた。彼女の必死の形相。突然の破壊行動。それらが頭から消えてなくならない。それを拭い去ろうと私は頭をぶんぶんと振る。手で顔を拭う。その手には冷や汗がべっとりと滲んでいた。こんなに冷や汗をかいていたのかとひどく驚いた。気乗りしなかったが私は仕方がないと自分に言い聞かせ彼女の元へ戻ることにした。どう考えても彼女のせいなのは間違いなかったからだ。元いた場所に戻ると、そこにはまだ彼女がいた。少しは落ち着いたのだろうか、私が近づいていくと彼女は顔を上げた。そして力なくにこりと笑った。可愛らしい笑顔だった。ドキリとした感情が顔に出ないよう必死に取り繕いながら私は店での行為について聞いてみた。少し枯れた声で彼女は話し始めた。
「その、ごめんなさい。実は大事にしていた人形が捨てられてしまって。それで必死に同じのを探していたの。もしかしたら誰かが持って行ってどこかに売ったんじゃないかって。色々店を走り回って探したけど全然なくて。そしたらいらいらしてきて、もうどこにもないじゃないかって思うとすごく悲しくて寂しくて。そんな時あの店で同じものを見つけたの。でもその人形は私の人形じゃなかった。そしたらなんかすごく悔しくて馬鹿にされている気がして気持ちを抑えきれなくなって」
私は黙って彼女の話を聞いていた。何も喋れなかったという方が正しいかもしれない。とりあえず彼女の話に適当に相槌を打つことぐらいしか出来なかったのだ。彼女は頭を抱えさらに話を続けた。
「見ず知らずの人に迷惑をかけちゃった。本当ごめんなさい。そして有難うございました。……はあ、あのお店の人にも後で謝らないと」
彼女はとてもばつが悪そうに頭を下げ私に謝った。店での狂乱ぶりからは想像できない礼儀正しさだった。眼に涙をため、途方に暮れている彼女を見て私はある提案をした。一緒に謝りに行こう、と。彼女は驚いたように私を見た。私は無言で頷いて歩き出すと彼女が急いで私の後をついてきた。本当に良いんですか、という彼女に問いに私は再び無言で頷いた。まるでドラマのような筋書きだった。アンティークショップの店主に謝罪した私たちはその後よく会うようになった。彼女はまだ諦めていなかったらしく度々アンティークショップで出会った。そしてどうせ暇だからと私も人形を一緒に探すようになったのだ。これが彼女と過ごすようになったきっかけだった。
そして今。彼女は妻として私の帰りを迎えてくれる。家のドアを開けてただいまと声をかける。彼女がばたばたと玄関まで迎えに来てくれる。
「おかえりなさい。ほーらパパが帰ってきましたよー」
彼女はそう言って腕に抱えた人形をあやす。
 私はそんな彼女が愛しいとそう思うのだ。

*幕間*
 人の愛はこんなにも歪んでしまうものでしょうか。人形狂いの妻と夫の過度な愛。順風満帆に見える家庭もたった一つの事実でひどく歪んで見えてしまうものなのですね。彼女がここまで人形狂いになったのはなぜか。彼が彼女を深く愛するようになったのはなぜか。やはりあなたの話す夢は不思議なことがたくさんあります。え? こんな突拍子の無い話が面白いかと? ええ。このようになってしまった経緯を考えるのが私の楽しみでございますから。だからあなたはあなたの見た夢をありのまま私にお話して下さるだけで結構でございます。さあ。次はどのような話をしてくださいますか?

二幕 気紛れ冒涜遊戯

 赤ん坊を抱いた男が追われていた。家屋は破壊され町は焼かれ、人々の阿鼻叫喚が耳を劈くまさに地獄の最中であった。追跡者は人ではなかった。三mはある巨躯。深緑色の体表。足は二本。腕は四本ある。いずれも鋭利な爪を生やした人の頭ほどある手。そのうち二つの手の平には不規則に並んだおぞましい歯とざらざらとした舌を持つ口。残りの手の平にはぎょろりと蠢く赤く血走った目玉があった。それはひたすらにぐるりぐるりと動き回っていた。後頭部が奥に大きく伸びており顔には眼にあたる器官は見当たらず、そこは蝋で固められているように灰色をしていた。鼻にあたる部分から顎にかけて縦にぱっくりと裂け、赤黒い液体が滴る四つの大きな牙が生えており、中から蛇舌のような先が二又の細い舌が大量にうねりを上げていた。怪物は駆けずり回る男をのそりのそりと追い掛け回していた。怪物は男と自分の距離を一定に保つために、男の走る速さに合わせ歩幅を逐一変えていた。男がよろめいたり、転倒したりすると怪物は歩みを止めかわりに足音を大きく鳴らす、男に息を吹きかける、手の平の口にある舌で男のうなじを舐めるなどして男の恐怖あおり楽しんでいた。男は泣きながら逃げ回る。しかしそれでも追ってくる怪物から逃げ切ることは叶わない。後ろを振り返ると怪物は常に眼前へ迫っている。足が棒になるまで走ると、ついに男は倒れ込んでしまった。もう一歩も動けない。男が体勢を立て直そうと仰向けになると、怪物がじっと男を見下ろしていた。口からは大量の細長い舌がしゅるると音を上げている。理不尽な暴虐に、男は反骨心も湧き起こらずただ絶望を悟るだけだった。男は身をありのままに委ねた。怪物はゆっくりと男の足に手をかける。じゅる、じゅると音がたつ。怪物の手の平にある口から薄汚れた血が滴る。もはや男に意識を掴んでおくほどの余裕はなかった。遠のいていく意識。それでも男は腕に抱えた赤ん坊をしっかりと抱きしめていた。
(この子の命だけは私の命に代えても……)
それを怪物が見逃すはずがなかった。怪物はおもむろに男の足から手を離すと、男の抱える赤ん坊へと手を伸ばした。怪物の本質は冒涜であり、残酷であった。男にとって赤ん坊が全てならば怪物がそのことを利用しない手はない。怪物は顔の大口にある牙をカチカチと打ち鳴らした。赤ん坊を使い男の心を捩じ切ってやろう。真の絶望こそ我の糧なり。怪物は男から赤ん坊を取り上げた。赤ん坊の柔肌を極力傷つけないように慎重に腕に抱える。代わりに男に肉塊を持たせる。怪物は男が目覚めたときの様子を想像し、また牙をカチカチと打ち鳴らした。怪物は町を離れ真夜中の野を行く。怪物が闇に溶けると辺りを静寂が埋め尽くす。赤ん坊の行方を知る者は誰もいない。
 日が上がる頃、男は目を覚まししばらく呆然としていた。今このときは本当に現実なのか夢なのか、地に足がつかないふわりとした感覚があった。寝汗がひどい。体がぬめりとしており気分が優れない。しかもどこからか生臭いにおいが漂ってくる。男が立ち上がると腹から何かがぼとりと落ちた。肉塊。それも血で汚れた。男はその肉塊を見るやいなや昨日の出来事がフラッシュバックした。そして腕に抱えていたはずの赤ん坊がいなくなっていることに気が付いた。男はもう一度肉塊を見る。このことから導き出される結論が男の頭を一瞬よぎったが、それよりも早くほぼ反射的に男は嘔吐した。ありえない、信じられない、怖い、信じたくない、憎い。様々な感情が男の脳裏をうずまき、ついに男は絶叫した。赤ん坊はもうこの世にはいない。男はそう確信した。膝が崩れ落ち、赤い涙を流し、自らの生を苛みた。地面を何度も何度も叩く。手の側面から血が噴き出してもそれでも尚叩き続けた。天に向かって大きな声で吼えた。声が枯れ喉が潰れても、肺が縮こまって何度も意識を失いかけても、男は叫び続けた。日が暮れる頃、ようやく男は力なく立ち上がり、当てもなく野を歩いて行った。しばらくして男は教会を見つけた。真っ白で汚れひとつない美しい外観。教会の傍には大きなお腹を抱えた妊婦の聖女像が優雅に立っていた。それは男の眼に神と映った。男は教会の門をそっと開けた。中は飾り気がなくとても質素だった。中にいた司祭が男に気付くと微笑みながら駆け寄り、男を祭壇へ案内した。祭壇には先程の聖女像が祭られており、ステンドグラスから注がれる光が聖女像を淡く照らしていた。それがより一層聖女像の神秘性を増していた。男の心はすっかり聖女像にとらわれてしまっていた。赤ん坊を亡くした男にとって、お腹を抱える聖女像は庇護すべき希望に他ならなかった。男がふらりと祭壇に上ると、白い布がかけられた供物が捧げられており、そばに一本の剣が置かれていた。男が無意識に剣を手に取るとどこからともなく声が響いた。
〝絶望に身を落とす哀れな者よ。救われたくば我を信じなさい。信じるならば供物に刃を突き立て己が決意を我に示しなさい〟
男には選択するという意思は既になかった。言われるがままに剣を天に掲げ、目の前の聖女像に祈りをささげると剣を逆手に持ち替えそのまま供物に勢いよく突き立てた。供物からしぶく血が白い布を赤く染めていく。男は剣を通して伝わる供物の脈動を感じ取っていた。獣であろう供物を清浄な剣で突き立てることによって浄化する。これは浄化の儀式なのだ。私は初めて浄化する者としてこの場に立ったのだ。不浄は滅せよ。男は憑き物がとれたような晴れやかな顔で司祭を見、恭しく礼をした。司祭は歯をカチカチと鳴らしながら新たな信者を歓迎した。

*幕間*
 ああなんと恐ろしい話でしょうか。男は心を壊され、赤ん坊は行方知れず。……なにも言わないで。供物があやしいだなんて言わないで下さい。次は出来れば楽しい愉快な話が良いでしょうか。もちろんあなたにお任せしますが、私といたしましては心を落ち着かせたいのです。

三幕 人麺

 ヒトパスタというものがある。枯れて腐った木から骨と皮、申し訳ない程度の髪の毛をはやしたヒトがめりめりと音をたて、中から出てくることがある。この通称ヒトモドキと呼ばれる原材料を水が沸騰した鍋に投入する。原型がなくなり骨がむき出しになる頃合いで製麺機に通し麺を作る。ソースはヒトモドキを煮て得られる出し汁を使用する。その出し汁は真っ赤で少し粘性があるため見た目はナポリタンの様になる。味はレバー。髪の毛が混じることもあるようだが装飾の代わりになるので問題はない。微量ながらも存在する貴重な脂肪分はパルメザンチーズの代わりとなり、出来上がるパスタにコクを与える。ヒトモドキは各地で群生してからというもの一躍ソウルフードとしての地位をほしいままにしていた。そんなヒトモドキは小学校の給食になったり、スーパーに並んだりした。
 ヒトパスタが世界中を席巻し始めると、人の甘えきった欲望はとどまることを知らない。ヒトパスタと偽って荒稼ぎをしようとする輩が増え始めたのである。連中はヒトパスタと偽りただの腐った木を善良な市民に売りつけるのだ。もちろん腐った木をそのまま買い上げる阿呆はいないので、いかにもヒトパスタの様に見える細工と味付けをする。これを極上一級品のヒトモドキだよ! と言って売りつけるのだ。ヒトモドキに味や品質を比べるランクは一応存在する。新鮮さや脂肪分の多さで決まるため、ヒトモドキが生活の基盤を担うようになってから騙される人々が後を絶たない。極上一級品はとても魅力的にうつるのだ。方々の治安維持機関が注意を促しているがそれでも偽ヒトモドキを不正に売り払う輩とそれに騙される市民がいなくならないのだ。
 この不正を巡り善良純粋無垢な小学生が被害者となる事件が起きた。ある男子児童が給食担当班からヒトパスタ大盛りを頼み、他の児童から大ブーイングを浴びつつもしれっとした顔で校庭に出てその中央に陣取った。なんでもその男子児童は行儀が悪く食事をすると大抵こぼしまき散らすのだ。そんな彼の素行による被害児童は一致団結しクラスメイトの輪から彼をつまはじきにあわせた。結果彼は校庭中央で孤独に、しかし挫けることなく堂々と給食を食べるのだ。その児童が喜び勇んでヒトパスタ給食をほおばっているときにその事件は起きた。校庭に侵入するスーツ姿の集団。なにやら大きな荷物を抱えて入り込んでいる。彼らがおもむろに児童の周りを囲んだかと思うと大きな荷物の包みを開放した。荷物の中身はとても大きなヒトモドキだった。突然のヒトモドキに男子児童は驚いて立ち上がった。二メートルほどあるだろうか、そのヒトモドキはスーツ姿集団よりも頭二つ分抜き出ていた。見たこともない大きなヒトモドキに男子児童はキラキラした目で巨大ヒトモドキを見ている。今にも飛びつきそうだ。スーツ集団の一人が児童に手をすりながら声をかける。
「こんな校庭に一人ぼっちでいる可哀そうなボク。よければおじさんたちの話を聞かないか」
児童はすげー! とか、うおー! とか叫んでいる。
「よろしい。そのままでいいから聞いてほしいんだ。見てわかる通りこれはヒトモドキの中でもひときわ大きい。実はこれは新種で新たに見つかったキョジンモドキなんだ」
へえーと頷く児童。
「だけどこれはまだ発見されて間もなくてね。僕たちはこれをいろんな人たちに教えるために全国をまわっているんだ。このキョジンモドキが普及すれば毎日ヒトパスタが食べられるぞ!」
ホント! と児童がいう。キラキラした眼だ。
「本当だとも。でもこれは大きいし重いからね。よければボクの家まで案内してくれないかな?」
いいよ! と児童は二つ返事。純粋無垢な児童は他人を疑うことを知らずただそのスーツ姿の集団を家へと招いてしまった。その児童の両親は共働きのために、児童が学校から戻っても家には誰もいないことが多い。だからあらかじめ両親は児童にカギを預けていた。おそらくこれがスーツ集団に狙われる原因となったのだろう。児童の家にたどり着くと、彼らは児童に家を開けるように促し鍵を開けさせた。児童が喜んで鍵を開けるとスーツ集団は荷物を家の中まで運んだ。
「よし、これでオッケー。ありがとう。ボクはかしこいね。じゃあこれにサインをくれるかな?」
頭に疑問符を浮かべる児童。首をかしげている。
「受取印というものだよ。見たことない? おとうさんやおかあさんが宅配の人にサインをしているところ」
うーん、と考え込む児童。どうやらないらしい。
「じゃあここに名前を書いてくれる? 平仮名でいいよ」
わかったー、と意気込んで汚い字で書き込む児童。
「ありがとう! じゃあね。毎度ありがとうございましたー!」
サインの書き込みが終わるとスーツ集団は九十度体を曲げてとても丁寧にお辞儀をすると、そそくさと児童の家から去って行った。児童は楽しみのあまり荷物の周りをぴょんぴょんと飛びまわり両親の帰りを待った。だがその荷物の正体は精巧にヒトモドキに似せられたただの腐った木だったのである。児童の両親は彼を叱りに叱り飛ばした。児童は泣き叫び、何度も親に謝った。怒り心頭の両親は彼を監禁し反省を促した。そんなある日、外道詐欺集団から葉書が届いた。
『◎△@様
 この度は弊社のキョジンモドキをご購入いただきありがとうございました。つきましては次の口座までご入金をお願いいたします。尚支払いが遅れますとしかるべき機関に報告し、あなた方に多大な損失が生まれますのでご注意ください。尚支払いが出来ない場合は、一度弊社までご相談ください。代わりのプランをご提案させていただきます。
有限会社 人麺 TEL:0120-×××-×××』

四幕 イメージライター

絵が上手くなりたい。小さい頃からそう思っていた。絵が上手だった兄の姿を見て、いつしか僕もそうでありたいと思うようになった。しかし僕の絵はお世辞にも上手いなんて言えない。オブラートに包んだ言い方をすると、個性的で独特と言える。つまり下手糞なのだ。頭には僕の書こうとするイメージはしっかりと思い浮かぶのだが、その通りに書こうにも輪郭線すら満足に書けない。ミミズが這っているような輪郭線。全体的に統一されていないバランスの悪い絵。鉛筆を使って紙に下書きをするときは何度も何度も線を重ねることでようやく下書きが完成する。僕の絵を見ると気恥ずかしい、不毛な感情が湧き起こるがそれでも絵を描き続けた。僕がめげずに絵の練習を頑張っているのは、兄の絵を見たときの僕の感動をいろんな人にも味わってもらいたいからだ。そんな兄に師事を頼んだこともあるが、兄は直観型で理屈というものを持っていなかった。曰く、頭に思い浮かぶイメージをそのまま紙に写してなぞればいい、となんの参考にもならなかった。これを聞いて僕は兄には絶対に敵わないのだろうなと思った。だから僕は絵に関するノウハウをネット上で探した。風景画、人や動物のデッサン、写真集の模写、漫画のトレースなどオススメされていることは出来る限り実践するようにしている。
ある日僕が家の倉庫で絵の練習になる良いモデルを探していたところ、妙に古臭いツボを見つけた。外観は柔らかな印象を抱かせる流麗な曲線。随所に刻まれた荒々しくも統一された力強さを表す直線的な模様。相反する柔と剛が見事に調和していた。僕はすっかり魅せられてしまい直ぐにこれをデッサンの練習台にしようと決めた。綺麗な曲線や迷いのない直線の両方を兼ね添えたツボは良い練習になると思ったのだ。その結果、失敗。いざ書いてみると、流麗なはずの曲線はぐにゃりと乱れミミズの這った線に。太く濃い直線は思い切りの悪い弱々しい歪んだ線に。失敗。失敗。失敗。何度やっても上手くいかない。イライラしてしまった僕はツボを手に取り地面に叩きつけてしまった。ガシャンと音が部屋に響き、砕けた破片が辺りに散らばる。そこで僕はハッと我に返り、直ぐに後悔した。自分の能力を棚に上げて物に八つ当たりするなんて、最低だ。僕は頭を抱えて自分の行った過ちを悔いた。もう絵を描こうなんて思わない方がいいかもしれない。そう思ったとき、僕は透き通る綺麗な声を聞いた。
「ありがとう。ここから出してくれて」
僕が声の主の方へ振り向くとそこには灯篭の火のような光がぼんやりと漂っていた。僕は開いた口がふさがらずただ見つめるばかりだった。光はやがて形を変え人の姿となり実体が浮かび上がった。頭に角を生やし、背中には蝙蝠の羽。全体的に黒い肌をしており手には鋭い爪が生えていた。それは万人がイメージする悪魔そのものだった。
「そう。僕は悪魔だ。この姿は君が想像する悪魔像ということだよ。さて僕をあのツボから解放してくれたお礼に何か一つ願いを叶えてあげよう」
信じることなど出来なかった。よく分からない何かがいきなり出てきて願いを叶えてやろうだなんて。都合がよすぎる。これは僕の生み出した、甘えた幻想に違いない。きっと疲れているんだ。僕はただ押し黙って悪魔の方を睨んだ。するとどういう訳か悪魔は腕を組みながらうんうんと頷いてにやりと笑った。
「僕は悪魔だ。心を読み取ることぐらい出来るに決まってるじゃないか。成程、君は絵が上手くなりたいようだね。でも僕が信じられないと。そうだな、じゃあ君が叩き割ったツボを再生してみよう。それで信じてくれるだろうか」
悪魔がそういうと空間にキャンバスを出現させ元のツボを描き始めた。それは実に見事だった。なめらかな曲線美と剛胆な模様を寸分の狂いなく再現していた。僕が固唾をのみながら見ていると、キャンバスに描かれたツボがみるみる浮かび上がってきてついには実体化したのだ。僕は驚きのあまり素っ頓狂な声を上げてしまった。これなら本当に願いを叶えてくれるかもしれない。悪魔はさらに鼠や猫といった動物も描いた。それらが実体化すると、猫と鼠の鬼ごっこが始まった。僕はもう目の前の事象を信じざるを得なかった。頬をつねっても痛い。これは現実だ!
「どうやら信じてもらえたようで何よりだ。それじゃあ君にこのイメージライターの力をあげよう。これで君は君の思い描く通りの絵を何枚でも描くことが出来る。是非有効に使ってくれ」
悪魔はそういって僕の全体像を描いていった。鏡で映したように僕と全く変わらない僕が描かれていた。絵から這い上がるように実体化した僕は無表情に僕を見つめていた。
「君がイメージした君と手を合わせて同化するんだ。それで君は自由にイメージを描き出す能力を得る」
僕は言われたままに目の前の僕の手を取った。直後頭にガツンと衝撃が走る。脳がぐわんぐわんと響く。眼が回り視界が歪む。
「目が覚める頃にはイメージライターの力は身についているだろう。それじゃあね」
どこかで悪魔が別れを告げた。僕の視界の端に人魂がぽっと灯ったかと思うとそれはすぐに霧消した。そして僕の視界は黒く深く沈んでいった。
 ハッと目が覚める。僕の目の前にはツボがあった。とても不思議な夢を見ていた気がするがどうにも思い出せない。僕はひとまずツボを片付けると、何故か無性に絵が描きたくなった。頭に捕らわれているイメージが早くここから出してくれと言わんばかりに。僕は早速紙にペンを走らせた。ペンから出る黒いインクがするすると命を繋いでいく。僕は小学生ぐらいの男の子を描き上げた。すると僕の傍から声が聞こえてきた。
「これって僕? すげーそっくりだ、写真見たい。流石兄ちゃんはすごいなあ」
弟が傍で僕の絵をみていた。
「僕も兄ちゃんみたいに絵が描けるようになりたいなあ」
たとえ身内でも自分の絵を褒めてくれるのはとても嬉しいものだ。僕は弟の頭を優しくなでて一言だけアドバイスした。
「頭に浮かんだことを紙に写してなぞる。ただそれだけだよ」

*幕間*
 あなたがそんなに意地悪と思いませんでした。楽しいお話を期待した私が愚かだったのかもしませんが、それでも期待ぐらい抱いてもよろしいじゃありませんか。確かに夢は荒唐無稽で理屈が座る席なんてない世界ですが、私は今までこれほど荒唐無稽な夢を聞いたことがありません。ヒトパスタなんて夢、どれだけ荒唐無稽なのですか。……正直に申しますと、流石に受け入れがたいものがあります。
 さておき先程のイメージライターのお話は何とも不思議な終わり方でした。私が弟と思っていた人物は実は兄だった? じゃあ初めの弟は一体誰? 悪魔から能力を授かって入れ替わったのでしょうか? それとも彼が描いた小学生の男の子は一体? 疑問は増すばかりです。さて。今日はもうこれぐらいにしておきましょう。なんだか疲れてしまいました。それにしてもどうして今日はこんな暗い話ばかりだったのでしょうか。 もしかしてお疲れなのではないですか? 今日はゆっくりお休みください。また次の機会をお待ちしております。

終幕 おやすみなさい

 カタカタと文章を打ち込む音だけが部屋を占めていた。男はクリエイターという職に憧れその勢いで物書きに興ずるようになった。初めは思い通りに描けなくても、いつかきっと面白いと思ってもらえる作品が描けるはずだと信じてずっと物書きを続けていた。しかしどんなに頭をひねっても上手く描くことが出来なかった。男は己の発想力や表現力のチープさに辟易していた。どれほどの作品が没になっただろうか。男はそれを思い返そうとしたがやめた。どれだけ過去を振り返ったところで糧となるものはなにもない。今はただ無心に書くだけだ。男は画面を見つめてひたすら文章を書き連ねた。その勢いは男から眠りを奪う程だった。ひとしきり書き終えると男の腹がくうと鳴った。パスタでも食べて少し休憩しようと男は立ち上がり、台所へ向かった。鍋に水を適当に入れ沸かす。パスタが入った袋から雑に抜き取って鍋に入れた。パスタが柔らかくなると無造作に皿に盛りつけ、味付けをする。男はパスタを食べながら今書いている作品が本当に面白いのか考えていた。面白くなければまた没になる。男はもう作品を没にはしたくなかった。それでも作品を読み返せば読み返すだけ荒唐無稽な気がして面白くなくなってくる。書いている時は面白いと思えても何故か日を置くと面白くなくなっている。食べ物に鮮度があるよう物語にも鮮度があるのだろうか。いや、鮮度なんてあるものかと男は苦笑した。面白くないものはやはり面白くないのだ。そんなものを他人に見せる訳にはいかないと考えていた。
 パスタを食べ終えた男はまた文章を書き始める。タイプする音が男の部屋を埋め尽くす。男は空が明るみ始める時間までずっと文章を書いていた。途中何度も眠くなることがあったが、寝ようにも作品に対する構想が頭の中を渦巻いて寝るに寝付けなかった。男は気分転換にと近場の公園を散歩することにした。朝の冷えた空気が男の肌をつつく。冷ややかな風は男の煮えてふやけた頭をぎゅっと戒めた。男は公園のベンチにすわり一息つく。ふと男が公園にある遊具に目を向けると誰かがブランコに腰を掛けていた。真っ白なワンピースを着た少女だった。少女は男をじっと見つめている。不思議な子どもだと男が思っていると少女はすっと立ち上がり男の方へと近づいた。
「どうしたんだい?」
男は出来るだけ優しく少女に話しかけた。少女は照れたように微笑む。〝無理しなくていいんだよ〟と少女は言った。
「無理? 不思議な子だ。僕は無理なんかしていないよ」
男がそう言うと、少女は自分の眼の下を指差した。〝くま、出来てる〟
「え? ああ、もしかして心配してくれてるのかな。大丈夫だよ。僕は大丈夫だから」
少女は黙り込む。男はこんな時間に子どもが何故ひとりで公園にいるのだろうかと思っていた。まだ雀の鳴き声が聞こえる程静かだった。少女がまた男を見つめ返す。その眼はとても透き通っていた。そこに子どもらしい無邪気さを感じることは出来ない。逆に自分の心を見透かしているのだろうか。男はそんなことを考えていると急に後ろめたくなってきた。ふいっと男は少女から目を背けた。すると少女は口を開けた。〝どうしてそんなに頑張るの。そんなことしなくても誰もあなたを責めないのに〟
「……確かにそうかもしれない。でもこれは僕の夢なんだ。僕が描いた話を読んで、聞いて、面白いと思ってもらう。僕が物語を読んで感動したように、僕もその感動を創りたい。そして伝えたい。だから妥協はしたくない」
どうして僕は見知らぬ女の子に自分の創作観念を語っているのか。男はそう思ったが、少女の透き通った目に見つめられ思わず語ってしまった。接すれば接するほど不思議さは増し、それはいつしか神秘性を帯びていく。もしかすると僕は幻覚を見ているのだろうか。いよいよ現実と幻想の区別がつかなくなってきたのだろうか。そうだとすれば面白い話が描けないなんて損だなあ。夢ぐらい夢を見せてくれてもいいのに。男は呑気にそう考えていた。はあ、と男がため息をつくと、傍にいた少女がクスリと笑った。〝あなたのお話聞いてみたい〟
「本当かい? でも今すぐに話せそうなものはないな。どうしたものやら」
少女は首をふるふると振る。男がおや、と訝しんでいると少女は手を伸ばし、ぎゅっと男の手を掴んだ。突然のことに男は驚く。〝今じゃなくていい。わたしはここにいるから。だから今度聞かせて。あなたの夢を〟
少女は男の目を再び見つめる。綺麗な瞳だ。吸い込まれそうになる。男が公園で散歩しようと思ったのは偶然だった。そこで少女と出会ったのも偶然だった。しかし偶然と偶然が重なるとそれは必然に近くなるのだろう。男はこの出会いに運命的なものを感じていた。創作意欲が湧き起こる。今すぐにでも家に帰ってこの出来事を文章に描きたかった。
「分かった。また来るよ。楽しみに待ってて」
少女は顔を少しだけ明るくしたが直ぐに曇らせてしまった。このままでは男はまた寝ずに創作を続けてしまう。少女は自らの手で男の目をふさいだ。〝くま、やだ〟か細い声で少女は言った。男は虚をつかれたが、すぐに少女の手をとって微笑みながら頭を優しくなでた。夢で眠ると現実を見るのか、はたまた別の夢を見ることになるのか。確かめてみよう。男は少女におやすみ、と声をかけた。少女の顔はぱあっと明るくなり、はっきりと透き通った声で〝おやすみなさい〟と言った。男は少女の元から立ち去って行った。少女の顔には笑みが張り付いていた。

<了>
スポンサーサイト




 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png サークル
総もくじ 3kaku_s_L.png 小説
総もくじ 3kaku_s_L.png 徒然雑想
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png サークル
総もくじ  3kaku_s_L.png 小説
総もくじ  3kaku_s_L.png 徒然雑想
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
[グル・グル・スパングル]へ [ママンは嗤う]へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [グル・グル・スパングル]へ
  • [ママンは嗤う]へ